いながきの駄菓子屋探訪85:神戸で見つけた原風景な隠れ家的「駄菓子屋あ」

Posted by: 駄菓子屋いながき 宮永篤史

掲載日: Apr 9th, 2022

全国約400軒の駄菓子屋を旅した「駄菓子屋いながき」店主・宮永篤史が、「昔ながらの駄菓子屋を未来に残したい」という思いで、これまで息子とともに訪れた駄菓子屋を紹介します。今回は、兵庫県神戸市長田区の路地裏にある隠れ家のような「駄菓子屋あ」です。

いながきの駄菓子屋探訪85:神戸市駄菓子屋あ

月曜日と水曜日しか営業していない隠れ家のような店

いながきの駄菓子屋探訪85:神戸市駄菓子屋あ2

神戸市長田区にある、昔ながらの空気を感じさせる住宅街。そんな街で、表通りからはまったく見えない路地の奥に、小さな駄菓子屋を見つけたので訪ねてみました。月曜日と水曜日しか営業しておらず、さらに、訪ねた日は長期休業から再開した初日だった様子。ご縁があったようで、旅の醍醐味を感じます。
いながきの駄菓子屋探訪85:神戸市駄菓子屋あ3

阪神高速3号線と海に挟まれた腕塚町地区の、車の入れない細い路地。「フライドポテト」と書かれたノボリが表通りに立っていること以外は、目印らしい目印はありません。歩を進めると、赤い暖簾がかかった、隠れ家のような雰囲気のお店に着きました。「ヤンキーお断り」。パンチのある文言が入り口に貼ってあります。

100点のテストでフライドポテトが半額

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店内は入って左側に調理場と店主のいるカウンター、右手前側に駄菓子が置かれ、右奥には子どもサイズの飲食テーブルがありました。長針・短針に証明写真が付いた時計や、100点のテスト、男気のあるポエムなどが貼られた壁。お店とお客さんの関わり方が垣間見える数々のアイテムからは、6畳ほどの店内が、大きなコミュニティの場になっていることを強く感じます。
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50円のたこせんは、ソースで名前を書いてくれます。なんだか絆が深まるような、温もりと面白さの両方がありました。そして、100点のテストを持ってくると、フライドポテトが半額! 小テストでもOKとのことで、これをモチベーションに勉強を頑張るようになった、という保護者からの声も多いんだとか。
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本業の豆腐屋のかたわら駄菓子屋を経営

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お店の名前は「駄菓子屋あ」。4人の男の子を育てる店主、あっこさんの頭文字から付けたんだそうです。2010年ごろ、自分の子どもたちの遊び場にもなればと開業。転居にともなって一度閉店したのち、現在の場所に移って再び開業し、5年ほどになるとのことです。
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「本業は、私の父と弟が経営している、100年以上続いてる豆腐屋です。豆腐屋は冬が繁忙期なので、そういう時期は特に、ヘロヘロになりながら駄菓子屋を開けてます(笑)。最初の店では長男と次男の友達が、今の店では三男と四男の友達がよく来てくれます。みんな、大人も子どもも関係なく私を『あっこ』と呼び捨てにして、営業日は少ないんだけどいつも来てくれる。大人になった子も顔を出してくれて、充実してて楽しいですよね、駄菓子屋経営」
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駄菓子屋の原風景

「ヤンキーが溜まると面倒だからヤンキーお断りにしてるけど、ヤンキーほど『おれはヤンキーじゃない』って言ってお店に来がち(笑)」と店主。信頼が厚く、慕われる人柄は、短い滞在時間でも伝わってきます。店前は車が入ってこないので、子どもたちが路地を中庭のように使って遊んでいる駄菓子屋あ。神戸の路地裏で、駄菓子屋の原風景に出会えました。
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駄菓子屋あ
住所:兵庫県神戸市長田区腕塚町8-5-20
営業時間:15:30~18:30(時間前に閉店する場合もあり)
定休日:火木金土日(月水のみ営業)

[All photos by Atsushi Miyanaga]

PROFILE

駄菓子屋いながき 宮永篤史

Atsushi Miyanaga

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

駄菓子屋いながき店主。1979年生まれ。経営していた学童保育を事業譲渡し、その後、息子と二人で日本一周駄菓子屋巡りの旅へ。超高齢化や後継者不足、利益率の低さなど、店主から語られる昔ながらの駄菓子屋の窮状を知り、なんとかこの文化を未来に繋げられないかと埼玉県加須市に駄菓子屋を開業。発達障害のシングルファザーですが、周囲の助けもありなんとか楽しく生活しています。

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