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激変するウクライナ情勢
2022年に入ってウクライナとロシアの緊張状態が急速に高まり、ついに2月24日、ロシアがウクライナへの侵攻を開始しました。3月4日現在もロシアは激しくウクライナの主要都市を攻撃中です。連日のニュースでの映像に心を痛めている人も多いかもしれません。
今回は、ウクライナ情勢を取り巻くニュースでよく使われる英語と、海外の人たちとの会話のなかでこの話題に触れる際、配慮ある国際人として知っておいてほしいことをお伝えします。
カタカナ読みだと通じない固有名詞
まずウクライナ関連のニュースでキーワードとなる、いくつかの固有名詞の発音をみていきましょう。カタカナ読みだとまったく通じない場合が多い意外な発音のものもあります。
Kiev (ウクライナの首都、キエフ)キーブ
Belarus (ベラルーシ)ベラルース
NATO (北大西洋条約機構<ナトー>)ネイトー
ニュースで聞く用語
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BBCやCNNなどの海外ニュースや英語でのネット記事などを読むときに知っていると、ぐっと理解度が上がるロシアのウクライナ侵攻関連のキーワードをみていきましょう。
Asset freezing 資産凍結
Cease fire talks 停戦協議
例)What can we do more to stop Russia?
ロシアを止めるには、これ以上何ができるのか?
SWIFT ban and freezing asset are on the table.
SWIFT(スウィフト)からの排除や資産凍結が考えられます。
The second cease fire talks were held in Belarus.
2回目の停戦協議はベラルーシで開かれた。
またロシアの豊かな資源をめぐる欧米のジレンマや、戦場と化したウクライナの街の様子も、ニュースで大きく取り上げられています。
Petrol ガソリン
Refugee 難民
Bomb shelter 防空壕
Tank 戦車
Nuclear weapon 核兵器
Invasion(侵攻)からWar(戦争)へ
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イギリスのBBCでは侵攻が始まる2月24日以前は、Conflict(対立)、そして24日のロシアの武力侵攻開始からは、Invasion(侵攻)もしくはMilitary attack(武力攻撃)という言葉を使用していました。ところが、3月1日よりこれらを一気に改変して、以降はWar(戦争)という言葉で統一してテレビやネットなどで報道しています。
ウクライナ関連のニュースを話題にする際に注意していること
日本では悲しい世界のニュースとして感じている人は多くても、身近なこととして危機感を持ったり、当事者にあたるウクライナ人やロシア人と関わりを持つ人は少ないかもしれません。その一方で筆者の住むイギリスでは、ウクライナ人もロシア人もかなりの人数が住んでいたり、常に国際情勢に敏感な人が多いため、起こってしまった戦争に心を痛めている人が少なくありません。
日本ではあまり当てはまらないかもしれませんが、現在、イギリスで生活している筆者自身が、この話題を家族以外の人と話す際に気を付けていることをいくつかご紹介します。
1. 子どもの前では話さない
現在イギリスでは、ウクライナ情勢に関する話題は「ニュースで大きく取り上げられてるから、ちょっと世間話として話そう」というようなものでは決してありません。特に子どもの前では、必要以上に繰り返しウクライナ情勢の話題を話すことを避けたいと思っている大人が多いため、周りに人がいない静かな環境で、ごくごく親しい友達と話すようにしています。
2. War, Invasion は使わない
ウクライナ情勢を表す言葉として、ニュースではWarやInvasionが使われていますが、家族以外の人と話す際にはこれらの言葉を避けるようにしています。これはシンプルにこのニュースが悲しすぎて心を痛めているイギリス人が多いことと、知らないだけでウクライナやロシアのバックグラウンドやつながりを持つ人がいるかもしれないという配慮です。ほとんどの場合、The news in Ukraine(ウクライナのニュース)という言い方をします。
ウクライナ人などの当事者に声をかけたいとき
もし、身の回りにウクライナにゆかりのある人がいた場合は、次のような言葉をかけるのがいいかもしれません。
例)I’m thinking of you and your country.
あなたのこととあなたの国のことを考えています(心配しています)。
I’m very sorry to hear what is happening now in your home country.
あなたの母国で今起こっていることを聞いて、とても残念です。
ロシアとウクライナの歴史やバックグラウンド、今までの経緯などを当事者でない私たちが言う必要はなく、シンプルに「心が痛みます。心配しています」と、筆者は伝えるようにしています。
一日も早い解決を祈る
厳しい自然災害や新型コロナウイルスのパンデミックなど、避けがたいことはあれど、21世紀の今、ごくごく普通のヨーロッパの先進国のひとつであったウクライナで戦争が起こっていることが今も信じられません。未来を思って、ウクライナでのむなしい戦争が一日もはやく終焉に向かうことを祈るばかりです。
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